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【大正ロマンミステリー】大正箱娘 見習い記者と謎解き姫-紅玉いづき

「箱には謎と秘密と、それから女が入っている」と紹介されている本作。

タイトルにも「箱」とあるように、箱にまつわる謎を見習い記者の英田紺と、開けられぬ箱も閉じれぬ箱もないと言う『箱娘』うららの物語。

大正箱娘 見習い記者と謎解き姫 (講談社タイガ)

 

劇場という名の「箱」であったり、密室空間を指す「箱」であったり、様々な箱が出てきます。

そして、大正時代の社会全体を指した「箱」。

そこで生きる女性を描いたお話となっています。

それでは紹介していきたいと思います。

 ■あらすじ

新米新聞記者の英田紺のもとに届いた一通の手紙。それは旧家の蔵で見つかった呪いの箱を始末してほしい、という依頼だった。呪いの解明のため紺が訪れた、神楽坂にある箱屋敷と呼ばれる館で、うららという名の美しくも不思議な少女は、そっと囁いた――。「うちに開けぬ箱もありませんし、閉じれぬ箱も、ありませぬ」謎と秘密と、語れぬ大切な思いが詰まった箱は、今、開かれる。

■感想

物語の構成は短編集が繋がって物語が進んでいく形になっています。長編ミステリーと言う訳ではありません。

少しの時間に1章ずつ読んでいっても続きが気になる!という構成ではないので、気軽に読める作品となっています。

また、ミステリーと作品は銘打っていますが、どちらかというと謎解きよりも主人公や物語に登場してくる女性の心理描写にスポットが当たっている気がします。

謎解き要素を楽しむのではなく、時代を生きる「女性」の強さや弱さと言った魅力に心揺さぶられる作品との印象を受けました。

 

大正時代と言うのは男尊女卑の時代であり、そこは女性にとっては生きづらい時代であったことは想像できます。

その時代を生きている女性のあらゆる感情が込められており、決してハッピーエンドのような明るい物語ではないですが、ただ重苦しいだけと言うのもまた違う印象を受けます。

 

主人公である英田紺が心の中(箱)に抱える想いは、開くことが出来るのか。

それとも、すでに心の中(箱)から溢れる想いは、閉じられてしまうのか。

本書はシリーズの1巻であるため、これからのお話が大変楽しみな作品となっています。

近々続編の「大正箱娘 怪人カシオペイヤ」が発売されますので、この機会に是非いかかでしょうか。

 

 

 

 

大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)
 

 

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ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫)

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