【web漫画日和:コミックNewtype編】『ぜっしゃか-私立四ツ輪女子学園絶滅危惧車学科-』を読む
――旧車
そんな言葉を聞いたことがある、触れたことがあつ、知っているという現代の若者は、少なくなったように思う。若者だけではない、大人たちだってそうだろう。部屋から窓の外を少しだけ覗いてみて欲しい、大きな国道を走る現代の車と言えば、丸っこくて、どれもこれもハイブリッドのエンジンを積み、判で押したように同じようなフロントマスクをしていないだろうか?
そんな「旧車」を知らない世代にこそ読んで欲しい漫画の連載がweb漫画サイト・コミックNewtypeで始まっている。
その名も『ぜっしゃか-私立四ツ輪女子学園絶滅危惧車学科-』だ。
↓↓↓作品概要
「旧車」×「JK」の青春カーグラフィティコメディ!!
故障・廃棄された旧車を再生(レストア)する絶車科に通う女子高生・百瀬莉子は、 2輪・4輪問わずに様々な学科が集まる四ツ輪島で、個性的なクラスメイト達と共に楽しい日々を満喫中♪ 再生した旧車に乗って島をドライブ、時にはみんなでキャンプもしたり…。 見るだけでも楽しい、乗ったらもっと楽しい! 「乗り物」の楽しさ満載な青春学園ライフをお届け!!
本州から20キロ沖、四ツ輪島からの陸続きであるかもめ島には〝ガラパゴス〟と呼ばれている学科がある。それが、主人公・百瀬莉子とその級友たちの活躍の舞台となる絶滅危惧車学科だ。では、彼女たち絶滅危惧車学科、通称〝絶車科〟は何を学んでいるのだろうか?もちろん、絶滅危惧車学科、というからには数理論理学でもないしジェンダー社会学でもない。彼女たちが学んでいるのは【絶車のレストア】なのだ。
ここで一旦話を止めよう。レストア、という言葉について説明をしておく必要があるだろうからだ。もし、「そんなの知ってるよ!」という方はここから先は読み飛ばしてもらって構わない。
レストアとは、老朽化などの理由により劣化や故障をした工業製品を修復、復活させることだ。整備とは違い、製造から年数がある程度たったヴィンテージモデルなどを復活、または保存する目的のために、レストアは行われる。そのあたりは、この番組を参考にして貰えればより深くレストアについて学べるはずだ。昔、ヤングマガジンで連載していた山本マサユキ氏の作品『ガタピシ車でいこう!!』も併せておススメしておこう。
CSは見られないだって?そこは、君の親が寛大な人であることを願うよ。
さて、レストアについての知識を得たのであれば、この作品は更に面白く見えてくる。
ノスタルジックな世界観。絶車科に集う個性的なメンツ。思い出と共にレストアされる、過去の名車……そういった様々なものが、この『ぜっしゃか-私立四ツ輪女子学園絶滅危惧車学科-』には詰まっているのだ。
シルビア、ヨタハチ、フェアレディ240Z、べレット1600GTR、ダルマセリカ、鉄仮面スカイラインなどなど、未だに人気の高い旧車、絶車は多い。プリウス、アクア……確かにハイブリッドやPHVは、エコを推進する今の地球上においてはマストな選択かも知れない。だが、旧車や絶車はそれにも勝るロマンがあることを覚えておいて欲しい――
▲フェアレディ240Z
この『ぜっしゃか-私立四ツ輪女子学園絶滅危惧車学科-』は、作者であるせきはん先生からのそういうメッセージなのかも知れない。
最後になるが、主人公・百瀬莉子のこんな言葉でこの記事を〆ようと思う。
わかった!絶車って時間旅行ができるんだ!
私たちタイムマシンが作れるんだよ!!
(第一話「楽園へようこそ!」より
では。
肥後ばいそん