Studio A.D.S.

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【たまには、振り返って】『マルスのキス』を読む

――もう、酒しか信じない(ダークヒーローモノの映画キャッチコピー風

本当に信じているのは金なんですけどね!!

さて、今日紹介しますのはこの作品。

マルスのキス (ピアニッシモコミックス)

マルスのキス』

著者は、集英社が発行するグランドジャンプにて『オトメの帝国』を連載中の岸虎次郎先生です。ピュアフル文庫の恋愛小説アンソロジー『告白。』に掲載された作品を原作として、ポプラ社が発行していた漫画雑誌・COMIC PIANISSIMOにてコミカライズされた作品で、1巻で完結しております。

↓↓↓作品概要

ガールズ・ラブ・コミックの傑作誕生!!

美術室でマルス像にキスをする美希を見かけた日から、
彼女の存在が気になる由佳里。
秘密を共有することで、しだいに惹かれあい距離を縮めるふたり。
ある日、由佳里はその感情が
「友情」ではなく「恋」だと気づいてしまう―――。
思春期特有の、はかなくも美しい揺れる恋心をとらえた純愛感動作、待望のコミック化。
ポプラ社HPより引用)

 

 

告白。―ピュアフル・アンソロジー (ピュアフル文庫)
▲『告白。』書影

ちなみに、現在は残念ながらCOMIC PIANISSIMOは廃刊済み。『マルスのキス』自体も初版が2008年なので、もう10年近く前の作品となっています。

岸虎次郎先生といえば、『オトメの帝国』をお読みの読者ならばご存知のことと思いますが、学生百合の大家。この『マルスのキス』も期待を裏切らない怒涛の学生百合です。

↓↓↓岸先生twitter

 

 年上でチャライ彼氏がいるイマドキの女子校生・由佳里と、勉強は出来るけどもクラスでは地味で目立たない女の子・美希。ストーリーは、美希が美術室のマルス像にキスをしている所を、由佳里が見てしまう所から始まるのですが……

このマルスのキス』には、岸先生の作風がありありと滲み出ています。登場人物たちは素直できらきらと輝いていて、描写一つ一つがとても丁寧。何一つとして、無駄がなく……ある意味では、かなりストイックな作品だともいえるかもしれません。

何故、ヒトはヒトを好きになるのか?どうしてそうなったのか?それが、余すところなく描かれている様は、方程式を解いているかのよう。しかし、だからこそ、高校生の女の子たちが心に抱える悩みすらリアルに描かれており、見ていて苦しさも覚えることがあるかもしれません。単純に〝百合〟を描いた作品なだけではないことが、一読していただければ分かると思います。

そして、岸先生の画力がさらに隙を埋めています。マルスのキス』は、どちらかと言えばセリフやモノローグが少ない部類の作品。しかし、それらがなくても登場人物の心情が、表情をみるだけでアリアリと浮かぶのは、一重に岸先生の画力と構成力のお陰と言う他ないのではないでしょうか。

この『マルスのキス』は冒頭でもお伝えしましたが、作品自体はとても古い作品です。しかし、今だからこそ読んで頂きたいのでこのタイミングで紹介させていただきました。ただの〝百合〟作品ではなく、年頃女子の成長物語マルスのキス』……

読もう、ね?(威圧

 

肥後ばいそん