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【綾崎隼の最高傑作】命の後で咲いた花 ‐綾崎 隼

小説を読むのはとても好きで、贔屓にしている作家さんもいらっしゃるのですが、新刊情報や発売日とかってあまり調べないんですよね。

そんな感じでサボっていたわけなので、今日本屋さんでブラブラしていると見つけました。

 因みに最高傑作と付けたのは本書の帯に書いてあったものです。

個人的にも最高傑作だとは思いますが、押しつけではないのであしからず。

 

命の後で咲いた花 (メディアワークス文庫)

 

蒼空時雨からずっと好きな作家さんの作品がいつの間にか出ていて、さらに気づいたらつい最近文庫化されていたんですね。

購入を即断し、一気に読み終えたので感想を書いていこうと思います。

■ あらすじ

 晴れて第一志望の教育学部に入学した榛名なずなだったが、大学生活は苦労の連続だった。
 それでも弱音を吐くことは出来ない。
 彼女には絶対に譲れない夢がある。
 何としてでも教師にならなければならない理由があるのだ。

 そんな日々の中、彼女はとある窮地を一人の男子学生に救われる。
 寡黙で童顔な、突き放すような優しさを持った年上の同級生。
 二つの夢が出会った時、一つの恋が生まれ、その未来が大きく揺れ動いていく。

 たとえば彼女が死んでも、きっとその花は咲くだろう。
 絶望的な愛情の狭間で、命をかけて彼女は彼のものになる。

 愛と死を告げる、新時代の恋愛ミステリー。

                    メディアワークス文庫公式サイトより引用

 

 ■感想

話は一人称視点で二部構成となっており、文庫化のみの書き下ろしエピローグがついている構成となっています。

あまり話しすぎるとネタバレになってしまうので、具体的なことは書きませんが構成自体は、たぶんありふれていて、ベタと言えばベタなんです。

だけど、登場人物の心理描写は一人称で話が進んでいくだけあって、本当に丁寧に描写されていて感情移入の度合いが半端じゃないです。

また、風景描写の細かい表現も相変わらずとても綺麗で、それが世界観となっていてとても儚くて壊れやすいガラスのような、綺麗に咲いているのに触ると散ってしまうような、そんな作品の印象となっています。

また、文章もとても読みやすく、特に一部は綾崎 隼さんには珍しくコミカルな印象を受ける文章となっていて、より物語の世界に入りやすくなる構成となっています。

 

正直、恋愛小説で命が関わるストーリーって余り好きじゃないんですね。

 だって、人の死ってどんな形であっても悲しいもので、それで感動だって言われても安っぽい感じがしますから。あと、登場人物が軒並み悲観的なものだったり、逆に楽観的すぎたり、あまり感情移入できないんです。

だけど、この作品の登場する人物は絶望もしますし、それでも希望も忘れない、人間らしさというのが溢れてるんですね。

死んでも消えずに繋がっていく想い、まさに命の後で咲いた花です。

本当にとても綺麗な作品だと思いました。

 

本当はもっと上手に魅力や感想を伝えられればと思うんですけど、語彙力と言うかこの程度の感想しか書けなくて申し訳ないんですが、一度読んでみて貰えれば、と思います。

登場人物が同作家の他作品とリンクしている部分もあるんですが、物語の本筋あまり関係のないファン向け程度ですので、この作品から読んでも問題ありません。

また、逆にこの作品を読んで、綾崎 隼さんの他作品にも触れてもらえる機会となればと思います。

 

命の後で咲いた花 (メディアワークス文庫)
 
命の後で咲いた花

命の後で咲いた花